嘘と微熱と甘い罠


私の言葉と視線につられたように。

相良の方を向いていた笠原さんが、私と視線を合わせる。

同じように、相良も私の方を向いた。





「迎えに来てくださって、ありがとうこざいました」





軽く頭を下げる私。

…お願いだから、昨日みたいなことにはしないでください。

笠原さんを好きになったことまで、後悔したくないんです。

そう心の中で願いながら私はまた笠原さんと顔を合わせた。





「…天沢?」

「でも私、言いましたよね?“笠原さんと終わりにしたい”って」

「俺はお前のこと、手放す気ねぇよ?」

「…放してください」

「お前は俺のだ」





薄ら笑いを浮かべる笠原さん。

…もう、いいかげんにしてよ。

結婚するんでしょ?

それなのにまだ私と都合よく続けたいって言うの?

そんなの勝手すぎる。

私の気持ちは、また知らん顔するの…!?





「いいかげん、退いてくれません?」





俯きそうになった私の頭の上を。

相良の冷めた声が通った。