「体は資本なんだからね?しっかり働いたらしっかり食べて。そうしたらしっかり休まなきゃダメよ?」

「はい…」





翌日。

検査をいくつかして異常がないのを確認されると、退院の許可はすぐに下りた。





「自分はよくても周りは心配するんだからね」





帰り間際に看護師さんが眉を少し下げながら言ってくれたその言葉は。

昨日の両親の姿と、相良のことを思い出させた。





「穂香!!」と名前を呼んだ時の相良の顔。

目を開けたときにあったお母さんとお父さんの顔。

安堵したようで、泣きそうで。

あんな顔、初めて見た。

そして。

その顔をさせたのが自分だというのがまた何とも言えない気持ちになる。





心配、かけちゃったな…。

お父さんにも、お母さんにも。

そして、相良にも。

とりあえずおかあさんにはメールしておこう。

相良は今、仕事中だろうから。

夜にでも連絡してみよう…。





が、しかし。

その考えが甘かったと頭を抱えたのは、病院を出たときだった。