「とりあえず戻るけど、何かあったら連絡しなさいよ!?」

「あー…はいはい」





階段から落ちたときにあちこちぶつけたせいで、足やら肩やらに痣ができていた。

他には怪我という怪我もなく、頭にもとりあえず異常はないらしい。

でも様子見のために1泊入院を余儀なくされた。

「付き添います!!」と申し出てくれたお母さんには申し訳ないけれど。

なにかあったら連絡するから、と約束をして。

今日は帰ってもらった。





誰もいなくなり、静かになった部屋でひとり。

目を覚まし、少し落ち着いた時。

お母さんが話してくれたことを思い出していた。





「会社の人が連絡くれたのよ。大事ではないけれど病院に運ばれたって」

「名前忘れちゃったんだけど、あんたと同期だって言ってた」

「ちゃんとお礼、言ってよ?」





お礼言っとけって言われても、ねぇ…。

誰だかわかんないんじゃ言いようもないじゃない。

会社の人で同期なんて、他部署も合わせればたくさんいる。

だけど、思い浮かぶのはただひとり。

…後で、メールしてみようかな。

そんなことを考えながら、私は無機質な天井を見上げた。