だけど、その願いは叶わなかった。





「もうっ!!あれほど無理するなって言ったでしょ!!」





次に目を覚ましたとき視界に入ったのは。

私の顔を覗き込むお母さんと、その横に立つお父さんだった。





「あ、れ…?お母さん…?」

「あれ?じゃないわよ!!寝不足と栄養失調で倒れるなんて!!」





寝不足?栄養失調?

…あぁ、たしかにここ最近よく眠れてなかったし、食欲もなかった。

でも、それは…。





「一人暮らしなんだから…自己管理はちゃんとしなさいよ…」

「お母さん…」





聞き慣れていたはずのお母さんの声。

ゆっくりと頭を撫でてくれるお母さんの手のひら。

大きいと思っていたお母さんなのに。

なんだか弱々しく、小さく見えた。

そんなお母さんの姿に、申し訳なさが増してくる。





「…あまり、無理をするな」

「お父さん…」





少し低くて、いつも落ち着いて話すお父さんの声も。

今は上ずって聞こえた。