嘘と微熱と甘い罠


私の手を握る相良の手は温かくて、ほんの少し震えていた。

だけど、その手から伝わる体温が私の心を温かく包んでくれる。

温かくて、優しい…この手を離したくなくて。

私は相良の手を握り返した。





「…相良」

「どっか痛ぇ?」

「違う」

「気分悪いか?」

「そうじゃない」





何から言えばいい?

何から言えば伝わる?

今言わなきゃ…今伝えなきゃいけない気がする。

でも。

言葉が出てこない。





「…無理、すんな」





そんな私に。

相良は、握っている手をまた握り返してくれた。





「さっきのことは、お前が落ち着いたら話すから。だから…もう少し寝てろ」





少し低めの柔らかい声が、ゆっくりと紡がれる言葉に。

“俺はここにいるから”と言わんばかりの、手のひらから伝わる体温に。

私自身が取り込まれていく。





ねぇ、相良。

私もあなたに聞いてほしいことがあるよ。

だから…。

次、目を覚ましたときも。

今と変わらず、手を握っていてね…。





そんなことを思いながら。

私はまた意識を手放した。