嘘と微熱と甘い罠


「あ、れ…?」





ここ、どこだろ…。

たしか会社…で、仕事してた…。

そうだ…非常階段で…、笠原さんと…相良と…。

さっきまでの出来事が頭を過り、起きあがろうとすると。

体に鈍い痛みが走った。





「いっ…っ!!」

「まだ起きんな!!」





体に感じた痛みに、動けずにいると。

聞き覚えのある声が耳を通った。





「さ…が、ら…?」





なんで、相良…?

それに、ここはどこなの…?

少し痛む頭と体に顔を歪めていると、相良が私が寝ていたベッドの端に座った。





「…ここ、病院。体も頭も、打ってるから…。いきなり動くなって…」





いつもの強気な相良とは違う。

弱々しくて、力無い声でそう言うと。

俯いたまま私の手を握った。





「…支えきれなくて…ごめん」

「私が重いから、みたいな言い方…やめてよ」

「意味が違ぇよ…ばぁか」





ほんの少し苦笑いを含ませながら。

相良は私の手を握る自身の手に力を込めた。