嘘と微熱と甘い罠


「…なんなんだよ」





ボソリ、と低く呟かれた相良の言葉は。

聞き慣れている声色とは全く違うものだった。





「お前なんなんだよ、何考えてんだよ」





逆ギレの様な口調の相良の言葉に。

私の視界はまた歪んだ。





…もういいから、やめてよ。

昨日いっぱい泣いたの。

顔がぐちゃぐちゃになるまで泣いたの。

胸の奥が痛くて、痛くて。

どうしていいかわからなかったの。

やっと涙が出なくなったのに。

相良は何がしたいの?

これ以上私をどうしたいのかわからないよ…!!






「私だってどうすればいいのかわかんないよ!!」





笑いたくもないのに笑いそうになる。

泣きたくないのに、視界は歪む。

俯き、首を振る私の腕を相良は掴むと。

ダンッと勢い任せの音をたて、私を壁に押し付けた。