嘘と微熱と甘い罠


お互いの息遣いすらも聞こえそうな静寂が会議室を包む。

実際にはほんの数秒。

なのに何時間にも感じられる。

そんな沈黙を破ったのは、私の情けない涙声だった。





「…言い訳なんて、相良と私には必要…ない」

「天、沢…?」

「私たちはただの同僚だから。それ以上でも…それ以下でもない」

「なっ…!!」

「…だから、私の中に入って来ないで」





途中、相良が何かを言いかけたけど。

私はそれを遮った。

だって…それを聞いてしまったら、私は…。





だから私は、相良に嘘をついた。

私の中に入って来ないで、なんて。

そんなの無理な話。

もう、私の真ん中にどっかり胡座をかいて住み着いちゃってるんだから。

あんなに好きだった笠原さんへの気持ちが過去形になってしまうくらい。

騙されていたと知った今でも、私の中から動かないくらい。

私は、相良に気持ちを持っていかれていたんだ。