嘘と微熱と甘い罠


“仕事がやりづらくなるから、周りに俺たちのことは秘密な”

―秘密にしてたのは、本命の彼女がいたから?

“ごめん、急な出張が入った”

―彼女とのデートが入ったから?

“今から会えるか?”

―彼女との約束がキャンセルになったから?

“俺も、好きだよ”

―そう言えば笠原さんのことを信じるから…?





全部全部、笠原さんに都合のいいものだった。

最初から笠原さんにとって私は、後輩以外のなんでもなかったんだ。

そして笠原さんは。

自分が結婚するのに私が邪魔になったから、私が相良のことを好きになるように仕向けた…。





相良の「…仕方ねぇなぁ」と誘いにのってくれるぶっきらぼうな優しさも。

私のことを「…抱きたいんだけど」とらしくない甘いセリフで誘ってきたことも。

躊躇するようにそっと触れてきた指先も。

全部笠原さんに協力してたから、なの…?





頭の中はぐちゃぐちゃで。

頬を伝う涙も止まることなく、後から後から溢れてきた。