嘘と微熱と甘い罠


でも。

笠原さんは時々、自分でいった言葉を忘れているかのように私に痕を残した。





―…。

―隠すの大変なんですよ?

―…隠したら意味ないだろ。

―なんでですか?

―…威嚇、だから。





そんな意味のあるような会話だとは思っていなかった。

だけど、今思えばそれは。

相良と飲みに行くとか、相良と外回りだとか。

相良絡みの話をした後のことだった。





あれ…?

ひょっとして…いや、ひょっとしなくても。

笠原さんの言っていた“威嚇”って。

相良に、対して…だった…?





そう思った瞬間。

胸の奥が締め付けられるようにグッと痛くなった。

その痛みはもう、罪悪感でしかない。

私が気付けなかったから。

笠原さんは、私のことを思っていてくれていたのに。





「…天沢」

「な、なにっ!?」





いつ電話を終えたのか。

相良がため息混じりに私を呼んだ。