嘘と微熱と甘い罠


寒気にも似たゾクリとした感覚は。

すぐに熱へと変換される。

腰から背中へと熱が走り抜ける度に、身体がビクビクと震えた。





「も、止め…」

「止めて、なんて口ばっかりのくせに」





何言ってんの?、と薄ら笑いを浮かべた相良は。

何もかもを見透かしているかのように、胸元に唇を這わせながら囁いた。





全部見透かされてる。

“止めて”なんて思ってない。

私の心と違って身体は素直に相良を欲しがってる。

それでも躊躇してしまうのは。

ここが職場だということ。

今は仕事中だということ。

そして今、一番大きく私の頭の中を占めるのは。

さっき見た、笠原さんについていたキスマーク。

目を閉じる度に、赤い所有印がチラチラと浮かんでは消えるんだ。





「…泣きそうな顔してるくせに、まだ言わないわけ?」

「え…?」





ハァ…と、ため息を吐きつつ相良が私の身体から離れた時。

ミーティングルームの内線が軽い音を響かせた。