ここがどこだ、とか。
何してんだ、とか。
もうそんなことどうでもいい。
身体の奥から沸いてくるこの熱は。
相良でしか治められない。
「相良ぁ…ッ…」
「蓮、だろ…?穂香」
低く囁かれた声が腰まで抜けた時。
相良の指先が素肌の胸に触れた。
「あ…」
胸に触れた相良の指先は、上下左右に動くけれど。
これから先を予想させる触り方じゃなくて。
お医者さんが触診するような、何の気持ちも感じられないものだった。
…途端。
さっきまでの熱くて甘い温度に冷めた空気が入り込む。
「…蓮…?」
え?ちょっと待って。
何、この状況。
私、なんか萎えさせるようなことした…?
そんなモヤモヤが頭の中を埋め始めたとき。
相良がいきなり動いた。
「これだ!!」
ガバッと私から離れると、カタカタと何かをパソコンに打ち込み始めた。
その姿はさっきまでの甘くて意地悪な相良じゃない。
オフィス内で見る仕事中の相良だった。