嘘と微熱と甘い罠


私の後について相良も資料室に入ると。

「こっち」と腕を引かれた。

どんどん奥に進んでいく相良の後をついていくしかない私。

課長に呼ばれてるんだよね?

なんで資料室なんかに来てるの?





「さ…相良?」

「…あ?」

「なんでここに来た、の…?」





私がそう質問したのと、相良が足を止めたのはほぼ同時。

資料室の奥の、ファイルに囲まれた一角。

そこに私は押し込まれた。





「…課長に企画の参考資料探してみろって言われたのと…」





そこまで言って、相良は不機嫌丸出しに眉間にシワを寄せた。

そして、付け加えた。





「…ここなら邪魔が入らないから」





相良の唇が紡いだ言葉は私の耳を素通りしていく。

ドキドキドキドキと、早鐘を打つような自分の心臓の音が邪魔をして。

相良の声が聞こえない。

なぜなら。

角に押し込んだ私を囲うように。

相良は両腕を壁について、私を見下げていたからだ。