嘘と微熱と甘い罠


社内でこんなに近づいたことなんてない。

せいぜい“頭ポンポン”ぐらい。

でも。

そんなのはちょっと仲のいい上司と部下とか、先輩と後輩とかのスキンシップの範囲。

笠原さんとも会社ではそのぐらいの距離感でつきあってきたのだ。

…それなのに。





「か、笠原さん…っ!?」

「…黙って。誰か来たらまずい」





熱の籠った声に、近づく距離。

私の身体の奥からドクンドクンと響く音。

笠原さんっ!?

誰か来たらまずいなら、離れてくださいって!!

こんな状況見られたら、誤解されますって!!





…誤解?





誤解もなにも、私は笠原さんとつきあってるんだ。

会社自体に社内恋愛禁止の規則があるわけじゃない。

仕事がやりづらいからこのつきあいを秘密にしようって。

笠原さんが言っただけ…。