嘘と微熱と甘い罠


ち、ち、ち…。

近い、近い、近いっ!!

なんでこんなに近いのよっ!!





突然目の前に現れた相良の顔に。

私の心臓が跳ね上がる。

心臓だけじゃない。

体温も急上昇。

身体の奥からバクバクと心臓の音と熱が上がってきた。





「黙っていなくなりゃ…心配、すんだろ…?」





コツン、と額同士がくっつけられる。

相良は目をつむっているけれど。

ほんの少し。

どっちが動けば触れてしまいそうな距離に。

私にはまぶたを閉じる余裕すらない。





なにその顔、その声っ!!

なんでそんな甘い空気を発してるわけっ!?

今までそんなのなかったでしょ!?

しかもここ会社っ!!

なんなのよっ!!

相良、なに考えてるのっ!?





頭の中、「!?」だらけ。

なにがどうなってこうなってるのかわからない。

どうすればい…。





「なーんて、言うわけないだろ」





私の思考を遮ったのは。

相良のバカにしたような声だった。