嘘と微熱と甘い罠


とりあえず。

これ以上神経を逆撫でしないように気をつけて言葉を発する。





「相良が…寝てたから?」





うん、これは嘘じゃない。

…もちろん、それだけじゃないけど。

そんな私のありきたりな言い訳に納得するはずもなく。

相良は眉間に深くシワを寄せた。





「俺かよ」

「や、そうじゃないけど…。
あまりにも気持ち良さそうに寝てたから…ね?」

「ね?…ってなぁ…。
だからってあんな時間に一人で帰るな」

「すぐタクシー捕まえたから大丈夫だっ…」

「…だーかーら」

「…ッ!?」





呆れたようなため息混じりの相良の声が、頭の上から降ってくる。

そして。

トンッと顔の横につかれた腕。





「…そういう問題じゃねぇんだよ」

「…ッ!?」





目の前数センチ。

相良のどアップが私の視界いっぱいに迫ってきた。