嘘と微熱と甘い罠


運良くタクシーも捕まって、運転手さんに地名を言うと。

10分くらいで着くと言われた。





家に着いても落ち着かなくて。

ようやく眠りに入れたのは外が白み始めた頃。

目が覚めたのはお昼を過ぎた頃。

着信ランプの光っているケータイを見ると。

相良からの着信だけで着歴が埋まりそうな勢いだった。

メールも何通も来ていた。





【どこにいる?】

【家にいる?】

【電話出ろ】

【返事しろ】





黙って出てきちゃったから心配してくれてたんだと思う。

でも。

この後も続いた相良からの電話もメールも。

応答しなかったんだ。





…私が悪いのはわかってるけどさ。

あんなあからさまに怒らなくてもよくない?

しかも仕事中ですよ?





重くなる気分に、増えるため息。

吐いても吐いても軽くならない心の奥は。

どうしたらいいんだろう。