掴まれている腕を振り解こうとすると、そのまま引っ張られた。

「ゔぁ。」

すっぽりと咲也君の胸の中に収まってしまう。


「もっと色気のある声を出せ。」


「無理です。」


「俺が無理矢理にでも出させてやろうか?」

耳元で囁かれて、顔が熱くなるのが分かった。


「ふふっ。
芽依ちゃん、顔がすぐ赤くなるね?」


両手で顔を包み込まれた。


「チューしちゃう?」


「しちゃわない!」


「じゃあ、明日にしよ」

咲也君はパッと手を離すと、紙袋を持って立ち上がった。

「楽しみにしてるね?
また明日。」

ちゅっと音を立てて私の額にキスをすると、咲也君は爽やかな笑顔で行ってしまった。


「...結局するんじゃん。」