「貸せ。」

咲也君は私からシャーペンを奪うと、サラサラと解答を書いていった。


「このyってどうやって纏めたの?」

私が考えていた解答と違うかったので、思わず訊いてしまった。


「更にy足して、あとで引いただけだ。
数学の先生も言ってたろ?
無いものは足して後で引けば良いって。」


「成る程。
無い物は足せば良いんだ...」


感心していると、咲也君に頬を抓られた。


「痛い。」


「冬休み、風邪でも引いたか?」

私の苦情は普通にスルーされた。


「引いてないけど、どうして?」


「課題は終わってねぇし、何か前より元気がねぇ気がしたから。
気のせいか?」

両手でびーっと私の頬を左右に伸ばして遊ぶ咲也君。