「いらっしゃい、芽依ちゃん。」

椎谷家に行くと、とびきりの笑顔で晋也さんが迎えてくれた。


「あの、これ良かったら。」

持ってきたお菓子を渡す。


「ありがとう!
気を遣わなくて良かったのに。出来た子だなぁ。
さぁ、どうぞ。」


「お邪魔しまーす。」

家に入るとリビングで咲也君がソファーに座って本を読んでいた。


「ん?
兄貴、彼女でも連れてー」

顔を上げた咲也君と目が合う。


「は?」


「あ、お邪魔してます。」


口を大きく開けた咲也君に、もう一度挨拶をした。


「ごめん。
状況が理解出来ない。」


「えーっと...」


私が困っていると

「芽依ちゃんは勉強しに来たんだよね?」

晋也さんが代わりに答えてくれた。