「...可愛げが無い奴だな。」


そう言いながらも、咲也君は私の手を握ったまま、自分のブレザーのポケットに突っ込んだ。


「これで文句無いか?」


「うん。あったかいし。」


「だよなぁ。
芽依ちゃんは俺が好きで好きで仕方ねぇもんなぁ?」


咲也君がニヤニヤしながら私を見てくる。


「...意地悪。」


「ありがとう。」


「褒めてないって!」


勢いで咲也君の方を向くと、思ってた以上に距離が近くて固まってしまった。


「う...あ...近っ。」


「何ならこのままキスしちゃう?」


「しません!」