「何がそんなに怖いの?」

咲也君が世間用バージョンで優しく尋ねる。


いつもこうなら良いのにな...


「昔、海で溺れたから...」


こんなことで怖いなんて言ったら、咲也君に笑われるかな?


「そっか...
でも、大丈夫だから。」


少し屈んで、私と目線を合わせるとにっこり笑った。


私はその笑顔に安心した。


「溺れたら俺様が助けてやるよ。」


立ち上がって私の手を取ると、海の奥へ走り出した。


「笑わないんだ...」


走りながらそう呟くと

「大丈夫。
心の中では馬鹿にして笑ってる。」

とSS王子が振り返る。


ちょっとでも信用した私が悪かった。

でも、言っちゃうあたりが咲也君らしい。


飛んでくる海水がキラキラしていたー