きん、と張り詰める空気を鋭い刀で突き刺すように、屋根から屋根へと移動する。

ーーーーここは、江戸。

私……安登宮 美里(あとみや みさと)が生まれ育った町であり、守り抜く必要のある町でもある。

と、そのとき
「いたぞー!!!!」
「あ、やっばっ」
そう、実は私追われています。
現在進行形で。

「まったく女の子をなんだと思ってるんだ…」
私の呟きも虚しく、複数人の武士と忍びらしき気配が近づいてくる。

まだ近くない。
そう思った時だった
「やけに余裕ですね?お嬢さん。左ががら空きですよ?」
すぐ左で声がした。