「・・・」



「征史さん…定子さんとどのようなお話を?」



「…別に…」



「私の話では…」



「心当たりあるのか?」



俺は肘掛椅子に座り、目の前の小さなテーブルに置いた煙草とマッチを手に取った。




「…貴様は男を取り入るのが本当に上手いな…処女の振りをして…本当は誰かと…」




「私は…誰とも…」



鏡台の鏡に向かって髪に櫛を通していた椿が振り返って、向きに言い返す。



「貴様は本当に俺を苛々させる…」