征史さんたちを見送り、ホッと吐息をついた。



「椿さん…旦那様を見送った後で貴方に話があります」


定子さんが私に耳打ちする。


「はい、わかりました…お義母様」


「…貴方に母と呼ばれたら虫唾が走るわ…」


「・・・」



定子さんは用件だけを言い放ち、先に扉の中に入って行った。



帰る家がない私はこの針の筵のような屋敷で住むしかない。