東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》

「失礼します」


椿が俺たちにお茶をも持って来た。


「椿…」


「征史さん…私だって貴方が逝くなんて信じられません」


「無粋だな…俺たちの話を訊いていたのか…」


「申し訳ございません…」



「…まぁ、いい…もし、俺が逝き、清史が戻れば…お前は清史の妻になれ」

「兄上っ!?」



「これは御堂家の当主としての命令だ…椿」



「そのような命令には従えません…私の夫は征史さん…一人です!」



「椿…!?」




椿は強い語調で言い返した。



俺が逝っても…俺を一途に愛し抜く事を誓う気持ちは嬉しいが…
俺自身が戸惑った。


俺が逝けないとーーー・・・