東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》

でも、このご時勢…本音は言えず…みな…建前で行動していた。



同年12月…

清史は訓練を終え、御堂家に帰宅。


書斎に籠る俺に清史が報告に来た。



「兄上を司令官とする陸軍31連隊に配属が決まりました…」



「そうか…」



「兄上の差し金ですか?」



「そうだ」



「…どうして?」



「俺はお前に生き抜いて欲しいからだ…」



「何故?」



俺は知っている…清史の椿に対する気持ちを。



「来年1月早々…31部隊はサイパンへと向かう…」



「サイパン?」