東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》

着物を剥いで、桶の温かい湯に手拭を浸し彼の身体を清拭した。



右肩と脇腹に2発の銃弾を受けた征史さん。


包帯で巻かれた部分をよけて丁寧に拭く。



「…痛くないですか?」



「別に…」


「そうですか…」



「屋敷の様子はどうだ?」



「屋敷に様子ですか?成宮さんはいつもの調子で明るいですし、清史さんは最近、キチンと休まず学校に行っています…」




「…そうか」



「次は胸許を拭きますね…」



私は桶の湯に手拭を浸して、次は首筋を拭いていく。