東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》

「お口を開けてください」



征史さんの顔は雪辱に塗れていた。


私の言う通り口を開けて、小芋を頬張る。



「…敵兵の捕虜なり、拷問を受けるのと同じだ…」



「私は敵兵ですか…」



征史さんはモグモグと口を動かして、小芋を食べた。



私は敵兵のように彼に嫌われてるんだーーー・・・



心に暗い影が落ちて、瞳からは涙が出そうだった。