「私はこれで…失礼します」


「手間をかけてすまなかったな」


「いえ…夜会開始の時刻も迫ってるので、手短にお願いしますよ。御堂中尉」



「わかっておる、手間をかけぬ」



富士子さんは私と御堂少佐を置いて出てしまった。



彼も私を漆黒の瞳で凝視する。


私は彼に背中を向け、ドレスの裾を揺らして距離を離した。



「貴様…俺から逃げるつもりか?」


彼は私の行動をせせら笑う。


「私は別に逃げてなど…」



「なら何故そのような行動をとる?貴様の行動は追い詰められた敵兵ようだな」