「ねぇ、知ってる?」



 噂。


 
 それは、風のように。



 一瞬にして通り抜けていく。



 「あそこのトイレあんじゃん?」



 「うん。あそこのトイレ暗いよねぇ~」



 「なんか薄気味悪いしさぁ・・・。」



 こうして、広がる噂は李音の耳にも届いた。



 「あぁ、また繰り返すの?あの悲しい物語を・・・。」



 そうしてまた・・・。



 






 いやぁぁぁあああ!!!!!



 その叫びは、闇に消されてしまう。



 あの日、私たちは、過ちを犯した・・・。



 「李音ちゃん!早く!早く行って!」



 今でもよみがえる。



 先輩のあの言葉が、あの時の恐怖が。



 「私は大丈夫・・・。」



 私はあの時、涙をのんで、あの場から逃げ出した。













 「大丈夫・・・・か」



 あの時の悔しさを繰り返さないために。



 「止めなきゃ・・・。ねぇ?優実さん」