こいかたおもい。Ⅱ


「あ、れ…?」

さっきまでいたはずの椎名くんがいなくなっていた。
あの女の子も。

え、ど、どうしよう…!

辺りをキョロキョロと見渡すけどいない。

もしかして迷子?!

こんな日に限ってケータイを家に忘れた。

もしかして呆れて帰っちゃったのかな。

あ、ダメ。泣きそう…

「瀬川さんっ!」

後ろから大きな声で名前を呼ばれた。

この声はー…

「椎名くん!」

「あー、よかった。
ずっと帰ってこないから迷子なったのかと思って心配したよ」

「ごめんね、ごめんね」

「…って、その格好どうしたの?!

もう帰ろうか」

帰ることになった。

私は椎名くんに事情を話した。
湊くんに会ったことは言わなかったけど。


「そんなの…。
瀬川さんの方が大事なんだから、怯えなくていいのに」

ふわっと優しく笑ってくれた。




椎名くん、
いつか、私。
椎名くんの隣に堂々といれるような女の子になるからね。