「あ、れ…?」
さっきまでいたはずの椎名くんがいなくなっていた。
あの女の子も。
え、ど、どうしよう…!
辺りをキョロキョロと見渡すけどいない。
もしかして迷子?!
こんな日に限ってケータイを家に忘れた。
もしかして呆れて帰っちゃったのかな。
あ、ダメ。泣きそう…
「瀬川さんっ!」
後ろから大きな声で名前を呼ばれた。
この声はー…
「椎名くん!」
「あー、よかった。
ずっと帰ってこないから迷子なったのかと思って心配したよ」
「ごめんね、ごめんね」
「…って、その格好どうしたの?!
もう帰ろうか」
帰ることになった。
私は椎名くんに事情を話した。
湊くんに会ったことは言わなかったけど。
「そんなの…。
瀬川さんの方が大事なんだから、怯えなくていいのに」
ふわっと優しく笑ってくれた。
椎名くん、
いつか、私。
椎名くんの隣に堂々といれるような女の子になるからね。

