頭がガンガンする。


今、いま、イマ、何があったの⁈

私、どうかしちゃったの⁈

夢⁈夢にしてはすっごくリアル過ぎ‼


瞬きをしていたら、再び触れた唇。

今度はしっかりと。長く。

あまりの衝撃に目を閉じるのを忘れる。
目の前にナリの…カッコいい顔。
額の傷…前に話してくれたやつ。結構大きい傷なんだな…

「ハル、目、閉じろ。」

両腕をハルの横に突っ張るようにしてドアを押し、逃げられない様に囲われて。


3回目の口付けでようやく心が追いついた。
角度を変えて啄むように触れる唇。

ちゅ、と音をたてて離れた。

足に力が入らない。ふわり、ふわり、浮かんだ感じ。


崩れ落ちるように座り込んだハルを包むようにし、優しく抱きとめるナリ。

「お前は誰にもやらねぇ。」

えっと。それって…


「それって…どういう意味?」
「ハルはオレの、って意味。」
「私…ナリよりおばさんだよ?」
「気になんねぇ。」
「しかも見た目子供だし。」
「オレはおっさんだよ。」
「スタイルよくないよ?」
「んなもんどうでもいい。」
「おっぱい小さいし。」
「オレがおっきくしてやんよ。」
「でも、でも、」
「なんだ。」
「昨日の人は…?」
「だから言っただろ。別れた。もう何年も前に。今はフリー。」
「…。」
「もう聞くことねぇのか?」


矢継ぎ早に質問し続けたけれど。

質問すればするほど、どうしたらいいのかわからなくなってしまう。

ー素直になれ。何度も言わない、素直になれ。ー

ふいに奏の言葉が頭をよぎる。


額の傷。

でも私好きだわ、この傷。
だってナリの一生懸命の証。

スッと手をあげ傷痕に触れてみる。

「ハル?」

訝しげにハルを見るナリ。

「もう、負けた。降参。」

両手を上げホールドアップ。