「...佐伯」 目を軽くこすりながら、名前を呼ぶ。 「あ、梨咲乃おはよー」 「...おはよ...」 佐伯は、いつも通りの爽やかな笑顔で挨拶をした。 昨日の夜のことを思い出す。 昨日、あんなにも泣いていたのに、もう今は元気なようだ。 ...佐伯らしい。 佐伯の弱さを目の前にして、あたしはなにも出来なかった。 ただ傍にいただけ。 あたしはやっぱり、無力だ。