「...梨咲乃さぁ......」
「...」
「なんで、あんなに躊躇いなく過去のこと、話してくれたの?」
「......」
「...いや、違う。なんで話せるの?」
「.........」
まだ佐伯と知り合って間もない頃。
あたしは、話しかけてくる佐伯が鬱陶しくていつものように“過去話”をしたんだっけ。
「...それは......」
「......俺もさ、あの時に笑いながらちょっと話したけど...」
「...」
「梨咲乃みたいに、全部は言えない」
「......」
「...過去のこと、悲しくないの?」
「......」

