「────今日、母親が俺の前からいなくなったなんだ」 「.........」 「...梨咲乃にちゃんと話してなかったよな」 「...」 「俺の家族のこと...」 「......うん」 「...」 「......話したくないなら、話さなくていい」 「...」 「そういうのはたぶん、悲しくなるんでしょ?」 「......うん...」 悲しそうな、切なそうな表情をする佐伯は、いつもの佐伯よりも大人しい。 ...当たり前か。 きっと、誰だって“そんなこと”を考えると悲しくなるのが普通だ。