「梨咲乃っ」

「......」




高校3年生になって、数日が経った。

佐伯は相変わらず元気で、まるで犬みたいだ。



5月下旬...。


佐伯が、嬉しそうにあたしの名前を呼んだ。




「......なんで急に呼び捨て?しかも下の名前...」

「いーじゃん、いーじゃん!」

「......」





下の名前で呼ばれるというのには、すごく違和感がある。
そんなの初めてだし。

...というより、こんなあたしから離れていかない時点で初めてだ。