『......梨咲乃?』 「......!」 3年ぶりに聞いた、佐伯の声。 昔よりも少し低くなった声が、あたしの鼓膜を電話越しに揺らす。 「......そう...だよ...っ」 『...久しぶりだな』 「......うん...」 『......外、出てこれる?』 「うんっ」 『...“あの”公園で待ってるから』 「すぐ行く...っ」 電話を切って、玄関に向かった。 「あれ、梨咲乃!?どこ行くの、こんな時間に...」 1階でテレビを観ていたおばさんが、玄関へ急ぐあたしを引き止めた。