「梨咲乃。なにをさっきからソワソワしてるの?」 午後9時。 佐伯がやって来るまで、あと1時間になった。 落ち着かない様子のあたしを見て、おばさんが不思議そうにそう尋ねた。 「え?べ、別に...」 「えー?絶対なんかあるよね?」 「なにもないよっ!」 「ふ~ん?」 おばさんが、ニヤニヤとあたしの表情を伺う。 ああ、もう隠し切れない。 「あたし、自分の部屋行くねっ」 おばさんから逃げるように、2階の自分の部屋へ向かった。