「......今日の10時」 「...え?」 北原くんが、空を見上げながら呟いた。 「『今日の10時、迎えに行くよ』」 「......」 「...翔真からの伝言っ。じゃあ、俺はもう帰るね」 「...あ、北原くん!」 あたしに背を向けて、帰ろうとする北原くんを慌てて呼び止める。 ピタリと止まってくれたけど、振り向くことはなかった。 それでもあたしは続けた。