「────...教室......」
佐伯に連れてこられた場所は、誰もいない教室だった。
春の光が入り込んで、幻想的な景色だ。
「......梨咲乃と初めて会ったときさ」
「......」
佐伯が、優しげな声で話し始めた。
「この教室だったよなー」
「...うん」
「あの日もさ、太陽の眠たくなる光が梨咲乃照らしてて、なんかすんげー梨咲乃が綺麗に見えた」
「...」
「気づいたら、梨咲乃に近寄って、喋ってた」
「...あのときは驚いたよ。いきなり言ってくるんだもん」
「はは、ごめん。あのとき...無条件で梨咲乃に引き寄せられたんだよなー」
「......」
「...なんだったんだろな」
「......」
「ま、そのおかげで今こうして友達になれてんだけどさ」
「......うん」