「......」 “あの人”が現れて、どれくらい経つだろうか? 3分?5分?いや、きっと数秒。 あたしは、自分の頭の中を整理することでいっぱいだった。 今“あの人”は...誰の名前を呼んだ? そして今、誰を見てる...? ...そう、“あの人”は確かに“翔真”と言ったんだ。 佐伯の名前を、たった数秒前に。 赤い口紅を綺麗に塗ったあの口で。