日が落ちるのが、随分と早くなった気がする。
風は冷たくて、空は真っ暗だ。
星は見えない。
ただ、あたしの頭上には、いつかに見ていた暗闇が静かにあるだけだ。
「────...え...」
鳩が豆鉄砲をくらったような顔、とは、このことなんだろうか。
────自分にとって忌まわしい記憶の人が、立っていた。
途中、何度か自分たちの横を通る人は、恋の話で盛り上がる女子中学生から
犬の散歩をするおじいちゃん。
きっとその人たちは、なにも知らないんだろう。
あたしたちが今、最悪な状況にあることを。
いや、きっとあたしだって、...まだ知らない。