安心した。

佐伯の低い声があたしの全てを包み込むような。


身震いするぐらいに、安心した。








「...まあ、まずは佐伯は数学の宿題を進ませようか」

「う...」

「教えるから。ほら身体起こして」

「......んー」








しゃがんで佐伯の肩を叩く。




────佐伯、あのね。
確かにあたしは、誰かを好きになれる自信はまだないよ。

だけど...佐伯なら


きっと心から愛せるような気がするんだよ。







うつぶせ状態だった佐伯は、身体を起こさないでなぜかあたしのほうに顔を向けた。