────放課後。北原くんはすでに部活に行ったらしく、今の教室には、
数学の宿題を忘れて居残りさせられてしまった佐伯と
それを待っているあたしだけ。
「あー...もうわかんねぇーよぉー......」
そんな呻き声をあげながら、佐伯は右手に握るシャーペンを机上に放り投げた。
「ちょっと...あたし、もう帰っていい?」
「やだ!1人じゃ寂しいじゃんかよ」
「......それなら早く終わらせてよ。あと3ページ」
「3ページをすぐ終わらせるなんて出来ねーよ!どんな超能力者であっても3日はかかるよ!」
「............」
「あーぁ...。魔法でも使えたら一瞬で終わるのになあ......」
「...」
なんて非現実的なことを考えているんだろう、と呆れながら悲しそうな顔をする佐伯を見ていた。

