「今あたしが歩いている道は...歩いてかなきゃいけない道は暗すぎて
...前も見えなくて......」
「......」
「あたしは強くなんかない......。もう生きるのが怖い...」
「.........」
「明日、誰かが死ぬかもしれない。誰かに裏切られるかもしれない!
そんな世の中をビクビクとしながら生きていくのって......あたしには.........」
「───梨咲乃!!」
「...っ」
「.........だから...俺がいる......っ」
「......」
もう視界がぼやけていた。
あたしは泣いていた。
初めてだった。
大粒の涙が、何度も何度も頬を伝うというのは。
そして、時折視界がクリアになるときに見える佐伯の目にも
涙が溜まっていた。

