朝、学校に到着したときに、北原くんには話しておいたんだった。
「...うん、まぁ......」
「......もう知ってると思うけど、翔真...母親がいないんだ」
「...うん」
「俺も全部知ってるワケじゃないけど、...たぶん、今すっげー我慢してるんだと思う」
「......」
「...」
「......ううん」
「え?」
「.........佐伯は今、前に進むことしか考えてないと思うよ」
「...」
「あたしも同じだから」
「.........そっか」
あたしの言葉に、北原くんはどこか寂しげな声で返事をした。

