SS -ｼｮｰﾄ･ｽﾄｰﾘｰ-

「あなた以外

良い男が見つかんないの … っ」

泣きそうな声で言った彼女を

抱き締めたのは、言い終わったと

ほぼ同時ぐらい。

もしかして、彼氏の話を俺にばっかり

ずーっとしてきたんは

俺に妬いてほしかったんか?

それとも無意識なんか?

どちらにしても こいつは小悪魔さん、やな。

「端から俺にしとけば良かったんちゃう?」

イタズラっぽく微笑むと

彼女は頬を赤くして小さく頷いた。

こんな時にだけ、やたら素直やな。

いっそのこと

俺だけのムードメーカーになってや。



-end-