「分かった。


一週間。


引っ越しの準備の時間も含めてそれだけ待ってくれない?」


少し目に熱いものが溢れそうになったけど、我慢した。



「瑠香はそれでいいの…?」


お母さんは困ったように言った。


「大丈夫。会おうと思えば、いくらでも会える距離だし。」


嘘つけ。


本当はもう一生会うつもりなんてないくせに。



自分の中にいる悪魔がそう呟いた気がした。


「でもお願い。由美とか誠とか里花には引っ越しのこと言わないで。」


そう言ったらお母さんが心配してきた。


「何も言わずにこの街を出ていくの?」



「違うよ。前日ぐらいに言って驚かせようと思ったの!」


またお前は嘘をついた。


何も言わずに逃げようとしているのに。


お前は本当に最低な奴だな。


また悪魔が呟いた。