今度はお母さんが止めに入らなかった。
お母さんは私のほうをじっと見つめている。
きっとお兄ちゃんと同じことを思っているのだろう。
「分かってる。
ここにいることがどれだけ危険なことか…
十分分かってるよ…
でも、由美や友達を放っておくことなんて出来ない…」
自分の意見を精一杯言ったつもりだった。
「お前は家族より友達なのか。」
お兄ちゃんは鋭い視線で私を見ながら、言った。
家族か友情。
それは一生考えてもこう言うと思う。
「どっちも大事。
どっちかなんて選べない…」
「お前その選択で俺と母さんを苦しませるかもしれないってわかってるのかっ!!」